「Oggi」 なるほど北川塾 〜基礎から学ぶ〜

04年9月号
参議院選挙、投票しましたか?選挙にまつわるホンマかいな!?なお話

先日の参議院選挙、みなさんは投票に行かれましたか?今月は選挙にまつわるお話をいくつか。  かくいう私も、これまでに9回の選挙を経験しております。県会議員で3回、衆議院議員で4回、三重県知事で2回。ただし、僕の選挙活動はいたって特殊、だと思います。

結婚式に出るのが選挙活動!?

最初の選挙は昭和47年の三重県県会議員でしたが、当時は、自治会長とか農業委員などの地元の組織や団体の有力者に話がつけば当選確定、というようなものだったんです。つまり、自分の家の前の道に側溝ができるとかの、地域の利益、組織や団体の利益に役に立つことを約束すればよかった。それらの要望を聞いて、お世話するのが仕事であり、選挙活動だったんですね。

たとえば、支持者のために結婚式に出たり、新しい施設のオープンのテープカットをやったりすることも、大事な「集票作戦」のひとつとされています。まあ、呼ぶ側は、いわゆる名誉職≠フ人を呼んでおけばその場の格が上がるっていうので呼ぶんでしょうし、呼ばれて行く側も、支持団体へのお世話の一環ということなんでしょうが、僕は、後年そういうことに公人を使うな、って言って(笑)、一切出なかった。

“辻説法≠ェ北川流選挙活動!?

もちろん、選挙期間中は立候補者は倒れるまで猛烈に活動しますよ。朝から晩まで街頭演説、夜は演説会場を何か所も回ったり。でも、実際のメインの活動は、後援会組織をどう動かすか、ということ。もちろん、人によりますが。街頭演説だけで票が集まれば苦労はないですけどね。支持してくれる団体や各種組織の集票力は桁違いなんです。だからその団体の利益になることのために働くというしがらみで、しばられることも多くなる。

でもそれは違うだろう、と僕は思う。たとえば、支持してくれる医師会という「団体」のために働くのではなくて、患者さんという「生活者個人」のために働くのが政治家だという「生活者起点」の信念があるんです。だから、選挙で組織に頼るのがいやで、普段から日常の活動を積み上げることを実践していました。

お寺や自治会館、個人のお宅などを回って「北川正恭と語る会」というものをやっていたんです。いわゆる辻説法≠ナすな(笑)。ひとりで旅行鞄を提げて、8泊9日の「旅」に出たこともありましたよ。15人とか30人とかの地元の人を集めてもらって、河川の改修やら道路をつくって、なんていう要望を聞いたり、自分の考えを伝えて、また住民の気持ちを聞いてディスカッションする。で、最終的には僕の考えを「うん。なるほど」と納得してもらえるまで、徹底的に語り合い尽くすわけです。つまり、自分から住民の中に入って行って、「本当にいいと思ったら応援してや」ということをやっていたわけです。特殊でしょう?

国会議員になるまでの2年間でこれを467回やりました。結果は、466勝1敗。このたった一度の敗北というのがですね。さんざん話して討議して、最後の最後に、「北川さん、あんた何しに来たんや?」って言われましてね。「選挙っちゅうのはね、酒が入ってナンボや」ですわ(笑)。これには力が抜けました。まあ、これが旧弊な選挙の現実だったんだな、と(笑)。

投票率を上げる秘訣とは!?

今は、電話、テレビ、インターネットと情報伝達手段が増えてきて、立候補者側のアピールの仕方も多様になってきましたが、昔からの選挙の基本ツール、ポスターには、実はものすごくお金がかかっているんですよ。スタイリストやヘアメイクをつけるのはあたりまえ。100枚以上も写真を撮って、撮影時間も3〜4時間にもなる。ちょっとでも良く見えるよう、当選するためにみんな一生懸命なんですよ(笑)。

ちなみに僕の場合、いちばん最初の選挙のときは、県庁の女のコたちの間で「今度の新人議員さん、エライかっこいいらしい」ってウワサになったようなんです。ところが、初登庁した現物を見たら、みんな「なーんだ」ってガッカリしたとか言うんです。28歳、フレッシュなイメージだったんでしょう。みんな後で言ってましたよ、「ポスターにダマされたー」って(笑)。

そんなことは笑い話としても、選挙前になったら「何月何日は○○の選挙です。みなさん投票に行きましょう」って言いながら町内を走り回っている選挙管理委員会の広報カー。あれにどのくらいのお金がかかっているか知ってますか? あれだけで全国で2〜3億のお金を使っているんです。もちろん、みんなの税金です。そんな無駄使いはやめて国に返上しよう、って三重県知事時代に県庁内で議論したこともあるんですよ。

投票率を上げたいのなら、もっとほかに方法があるだろうと思いませんか。極端な話をすれば、一気に税金を上げてみればいいんです(笑)。たとえばデンマークでは、90%近い投票率となっています。あの国では、7割を税金に取られますから、国民は自分たちが政治を動かすのだ、という意識をもっているのです。仮に、日本でも税金をそのくらい取って、その税金の使い道を詳細にマニフェストに示したら、みんな真剣に政治のことを考えて投票にも行くようになるんじゃないでしょうか。

これは極論にしても、若者が投票に行かないという問題に対して、インターネットで投票できるシステムを検討したっていい。選挙期間中に立候補者は自分のホームページを公開できない、なんていう今の公職選挙法も変えていくべきだと思う。ネットで詳細なマニフェストが公開できて、有権者がそれをいつでも見られて仔細に検討できる、やがては、投票所に行かなくとも自宅で投票できるようにと、法律も改正していくべきでしょう。もちろん、本当にその有権者がネット投票したのかという個人特定の問題など、さまざまな克服すべき難問もありますが。だんだんにそのように変わってゆくと思います。

(構成/小野純子)

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